週一映画館

週一映画館

映画のレビューと音楽活動、筋トレブログです。

『チョコレートファイター』女子版ジャッキーチェン

f:id:guiter8888:20210518184049p:plain2008年 泰
ジャンル・アクション
監督・プラッチャヤー・ピンゲーオ
主演・ジージャー・ヤーニン

 
母親が貸したお金を取り立てるため、ヤクザやチンピラをちぎっては投げしていく少女、ゼン(ヤーニン)。
ゼンは見ただけであらゆる格闘技を会得できる才能の持ち主なのです。
ヤーニンは実際に格闘技に精通しているだけあり、とにかく動きが綺麗。
跳躍系の多いテコンドーと、ムエタイによる肘や膝の打撃を組み合わせたスタイルは、蝶のように舞い蜂のように刺すという言葉がぴったり。
間違っても彼女に蹴られたいなどという横島な考えは過りません。
 
華奢で可愛い女子がヒロインの格闘アクションは沢山ありますが、やはり女子だけに危ない事はさせられない、本当の意味で体を張ったアクションは出来ず、迫力不足でご都合主義、説得力皆無となるのが定石です。 
しかしヤーニンは撮影中に何度も怪我をしてしまう程、真に体を張れるアクション女優です。

不注意による怪我ではなく、怪我をしてもおかしくないシーンばかりなのです。

ガチ(ノースタント)で顔面に蹴りを当てられる女優は類を見ません。
エンディングロールの舞台裏カットはただただ壮絶。
プロジェクトAのエンディングを彷彿とさせます。

f:id:guiter8888:20210518184102p:plainただこの作品以降は大人し目の物が多く、ぱっとしません。
やはり女子として同様のアクションにチャレンジしていけば、そのうち大事に至ると判断されたのかもしれません。

おそらくヤーニン主演で本作を超える物は今後作られないでしょう。
残念ではありますが、それほど本作の内容は衝撃的です。
間違いなく後生に残る作品です。
 
評価:100

『ドラゴンタトゥーの女』ゴルフクラブをフルスイング!

f:id:guiter8888:20210505112135p:plain2011年 米
ジャンル・ミステリー
監督・デヴィッド・フィンチャー
主演・ルーニー・マーラ

 

記者のミカエルハッカーリスベットが、40年前におきた少女失踪事件の謎に挑む。

シンプルな物語ではあるのですが、登場人物が多い事と、それぞれの関係性が把握しずらい事で、今一事件の概要が頭に入ってきません。

f:id:guiter8888:20210505112200p:plainおまけに二人の捜査はほぼ資料(写真と記事)とのにらめっこ。
説明台詞もほぼなく視聴者を置き去りがち(リアルと言えばリアル)。

正直ミステリーとしては面白いとは思えませんでした。
158分というのも無駄に長く感じます。

リスベットと真犯人との狂気のぶつかり合いが消化不良に終わったのも、何だかなという感じ。

ヒロインのリスベットは頭脳派な部分とアクティブな部分が共存する魅力的なキャラクターではありますが、斜に構えた態度はどうも好きになれません。

ピアスを多くつけるのは承認欲求の表れと聞きますが、その容姿をいじられるとふて腐れてしまうのは、幼児性の強い証です。
それだけに純粋であるのだとは思うのですが。

彼女を好きになれるかどうかで、映画にのめり込めるかどうかが決まりそうです。

 
評価:60

間隔のズレ

f:id:guiter8888:20210505150017j:plain
信号の停止線より大分間隔を開けて止まる車をよく見かけます。
その次もまた詰めずに間隔を開けて止める後続車後続車. . .。
ソーシャルディスタンスのための足位置マークとマークの間に立つ人。

この間隔(感覚)は一体何を表しているのでしょうか?
決められた位置に位置する事への抵抗、型にはまるむず痒さ、自分は自由なのだという自己主張?
おそらくこういう感覚の持ち主に特別な意識はなく、無意識にズレているのだと思います。
定まる事への堅苦しさからズレる事に、安心感(居心地の良さ)を覚えているのではないでしょうか。
このズレが周囲に与える影響は、必ずいつか自分に帰ってきます。
安心感に浸っているという事は、その返り討ちに気付けないという事。
直撃は避けられません。
日常生活において無意識による行動というのはいくつもありますが、決められたルールの中では何かしら(良し悪しは別にして)意識を持っているべきです。

『ザ・ファブル』V6岡田の体をはったアクションが映える

f:id:guiter8888:20210428174218p:plain2019年 日
ジャンル・アクション
監督・江口カン
主演・岡田准一

 
ヤングマガジンで連載されていた漫画を実写化。

ボスの命令で一年間普通の生活を送る事を命じられたプロの殺し屋、ファブル。
普通でない男が、プロとして普通に挑む。
 
冒頭の銃撃戦、数字や文字の軌道ラインみたいのは、そういう武器なのかと思いました(汗)
こういったオリジナルの演出をいきなり何の説明もなしに使うのはかなりの冒険です。個人的には分かりにくいうえ、正直邪魔といった印象。
 
今では肉弾戦におけるアクションシーンのスタンダードとなっている、「近すぎ」「切り替わりすぎ」のカメラワークもやはり好きになれません。
岡田君(V6)のアクションは大変切れがあるだけに残念。
アクションが見たいか、エンターテイメントが見たいかで好みが別れる所なのかもしれません。
 
キャストも正直微妙。
個人的に再現度が高かった順で言うと、ジャッカルが一番というのがツボ。
ファブルはちょっとガタイが良すぎるし目力もありすぎる気が。
笑いかたがわざとらしい事と、スイッチの顔の再現度が低いのも気になります。
原作を知らなければ違和感なく見れると思います。

f:id:guiter8888:20210428174239p:plain個人的に好きなシーンは岡田君がマンションの壁と壁の間を手と足を突っ張って登って行くシーン。
スピーディーでトリッキナーな動きはまるでパルクール
岡田君の身体能力に驚きです。

 
評価:50

時代の空気

子供の頃のアルバムや玩具を手にすると、過去へタイムスリップしたような感覚になりますよね。
ただ子供の頃の記憶は視野も狭く、その感覚の精度も曖昧です。

40後半のわたしは20年前くらいの本を好んで見るのですが、この辺りの本が最も感覚の精度が高く、時に新鮮な感動を得られるのです。

f:id:guiter8888:20210422143639j:plain例えばこちらのゲーム情報誌。
ゲームを卒業して10年以上経っていますが、ゲーム以外にも掲載されているMP3機能付き腕時計、ガラケーに繋げるキーボード、着メロをダウンロード出来る端末機等、当時こんな物があったのかと驚されます。
そしてこれらを何故か(初見なのに)懐かしくも感じるのです。
これは多分、物自体に懐かしさを感じているのではなく、物から時代の空気を感じているのだと思います。

これらの物(情報)が当時の流行や文化と繋がる事で、より新鮮な感動が得られるというわけです。
幼少期や出生前の情報はリンクしずらいものです。

スマホだけで全て事足りている現代と当時を生きてきたからこそ感じるギャップ。
時代の空気は、形を変えない物に対してより、形を変えた物からより感じられるように思います。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』SFコメディの名作中の名作

f:id:guiter8888:20210417205656p:plain1985年 米
ジャンル・SFコメディ
監督・ロバート・ゼメキス
主演・マイケルJフォックス

 
過激派の襲撃を受け絶命してしまった発明家のドク。
助手のマーティーは逃げる際に移動式タイムマシン(デロリアン)の操作を誤り、過去へタイムスリップしてしまう。
 
この映画を語る際、外せない要素が二つ。
予測された未来(現代)との相違、そして時間のパラドックスです。
 
予測された未来との相違に関しては、今だからこそあーだこーだ語れるわけですが、当時はひたすらに驚きと興奮しかなかったのです。
 
時間のパラドックスに関しては、実に映画的な解釈で撮られていると言えます。
過去にタイムトラベルしたマーティは、うっかり両親の恋のきっかけを奪ってしまう。
結果自分の存在が消えそうになってしまい右往左往するのですが、全て予定調和、じだばたしようがしまいが、マーティの両親はまた別のきっかけを得て恋に落ちるのです。
 
過去に戻れても過去は変えられない
辻褄合わせが生じるわけですね。
それが時間のパラドックスです。
つまりどうやってもマーティが消える事はなく、強いてはドクも結局は○○に事になるわけですが、そうなってしまうと面白くもなんともないですよね。
 
息子が自分の運命を変えるため、若き日の両親の恋仲を取り持つなんて、ロマンチックじゃあないですか。
ドクとの友情に涙するのも、過去を変えられたこそ。

f:id:guiter8888:20210417205634p:plainハイライトはマーティが演奏するジョニーBグッド
Jフォックスは実際ギター上手いんです。
聞いた事のないジャンルに客もバンドメンバーもノリノリの大興奮となるわけですが、タガの外れたマーティは常識破りな奏法?で舞台上を大暴れ。
引きまくっている周囲にようやく気付き「君らの子供は分かる」って、最高ですわほんと。

タイムトラベルを題材にした映画は数あれど、エンターテイメントに徹した事で、これだけ感動と興奮を与えてくれた映画は他にないです。
 
 
評価:100

『輪廻』とんだとばっちり

f:id:guiter8888:20210412212514p:plain2005年 日
ジャンル・ホラー
監督・清水崇
主演・優香

 
連続殺人事件を元にした映画の撮影中、主役に抜擢された新人女優の渚(優香)に異変が起きる。
優香の演技に所々違和感を感じていましたが、オチが分かった時なるほどと納得。
殺された少女を演じる事にぎこちなさが生まれていたのはそういうことかと。
それも含めた伏線回収で、後半一気に恐怖がエスカレートしていきます。
意味が分かると怖い系。
呪怨」のようなビックリ箱系より、遥かに怖いし面白い。

f:id:guiter8888:20210412212534j:plainただ清水監督ならではの苦手な表現も健在。
呪怨にもありましたが、布団の中から突如アイテムが現れるやつ。
ドラえもんのポケットみたいに異次元と繋がってるのか?
怖いというより萎えるんです。

ホラーとして完成度の高い作品ではありますが、ホテルに集まった人達が犠牲者の生まれ変わりってだけで殺されたり、婆さんがサイコパス化したり、余計な演出やシナリオも目立ちます。
 
評価:80