1978年伊
ジャンル・ホラー
監督・ジョージ・A・ロメロ
主演・ケン・フォリー
一切の説明もなく始まり、どう終わったのかも語られない。
終始暗雲立ち込める救いのない感じがたまらない、ゾンビ映画の代表作。
治安が崩れるとすぐにやりたい放題をしてしまう人間達。
金品や食べ物を奪うのは当たり前。
更には死人を銃で撃って遊ぶなど、人としてのモラルさえも亡くしてしまう。
ゾンビには法も秩序もありません。
秩序の絶たれた人間は、ある意味死人と変わらないのかもしれません。
当然私達にもこういった醜さは存在しているわけですが、それを表に出せる機会はそうありません。
それを目の当たりにした時、私たちはどう感じるのでしょうか?
デパートの中でやりたい放題な主人公たちと、それを妬むギャングとの対決シーンは見物です。
ここで玩具にされるゾンビを見て、「可哀想」などと思うのは完全なエゴイズムです。
監督の思うつぼです。
そんな感情は捨て、ひたすら高みの見物を決め込むべきです。ゾンビ映画でありながら、常にスポットを浴びているのは実は人間なのです。
ロメロはゾンビを通して人間を撮りたかったのですね。ゾンビはある意味マスコット的な存在として描かれている部分もあります。
♪パッパ、パッパ、パッパ、パッパ、パラリラリンランラン♪という陽気なBGMに乗せてスケートリンクをよちよち歩くその姿は、まるでゆるキャラの祭典のようです。
決して出しゃばる事はない、しかし確かな脅威として彼らはそこに居るのです。グロ耐性のない人には果てしなく辛い描写ばかりですが、見る価値は十二分にあります。
トム・サヴィーニの特殊メイクは芸術の領域です。死ぬまでに一度は見ておきたい、いや、見るべき映画ですね。 評価:100点
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