週一映画館

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映画のレビューと音楽活動、筋トレブログです。

『先生を流産させる会』サワコvsサイコ

2011年 日
ジャンル・ドラマ
監督・内藤瑛亮
主演・宮田亜紀

 

なんとも禍々しいタイトルですが、これが実話を元に作られているというから驚きです。
ストーリーもタイトルそのまま。

いくつか事実から変更されている点がありますが、犯人グループが男子から女子に変えられているのは大きいです。
「我が子を流産させられたらどうする?」をリアルに想像できる性質を持ち合わせている反面、より残酷に感じられます。

この問いに対し「いなかったことにする」と一見ヤバい回答を出すみずきですが、心の落とし所としては、ある意味理想的な回答と言えなくもないです。
ただしみずきの答えは、そこに至るまでの悲しみや怒りの感情がすっぽりと抜けています。

「殺す」と言ったサワコ(先生)の回答が親としての真意だとは思いますが、結局そうしない(できない)のもまた人としての真意なのかもしれません(理不尽にも思えますが)。

※《以下ネタバレ含む》

結局みずきは殺されもしなければ告訴すらされません。
最後に「いなかったことになんてできない」と言ったサワコの言葉は、みずきに言い聞かせたものではなく、自身への呟きだったのかもしれません。
みずきは典型的なサイコパスです。
諭すことのできない人間。サワコもそれを悟ったのだと思います。
破水させられた時の「気がすんだ?」という捨て台詞からも、その心情が伺えます。

あえて教育的メッセージを汲み取る必要はない作品だと思います。
エンタメ寄りに変更された事実内容からも、あくまでフィクション(ホラー)として見るのが正解かと。
ただこういった作品が生まれることで、実在した出来事が注目されるのは良いことです(裁判になっていないので詳細を調べるのが大変ですが)。

1時間程の映画ですが、内容は濃いのでお勧めです(妊娠中の女性は決して見ないでください)。

 

90