1981年日
ジャンル・ドラマ
監督・松山善三
主演・辻典子(本人)
子供の頃学校で見せられた文部省推薦映画。
36年ぶりの視聴。
自身の人格構成に大きな影響を与えたと思われます。
物語的には出落ち、冒頭で両手のない子供(典子)が誕生するという衝撃以降、特筆すべきエピソードも事件も起きません。
感動シーンを盛り込もうものなら内容的にいくらでもできたはずですが、あえて取り入れなかったところにこの作品の真意を感じます。
手がない事を理由に養護学校への入学を断られた帰り道、おんぶをせがむ典子に行き場のない怒りをぶつけてしまう母。
ここでうっかり母親が典子を抱きしめていようものなら、わたしは間違いなく涙を流していたに違いありません。
けどそうじゃないんですよね。
そういう事じゃあないんです。いくら足を手のように使いこなせても、一度外に出れば靴を履いているため思うようにはいかない。
人目も気になる。
結局人の手を借りなくてはならない。
手がないから「可哀想」だとか手がないのに「凄い」という表面的な部分でなく、その裏側(見えていない部分)を観てもらいたいのです。
障害者として生きていくうえで健常者といかに関わっていかなければならないのか、当人にとってそれは我々が思う以上にナイーブな問題です。
典子が明るい性格なので映画として見ていられますが、そうでなければ相当辛い内容です。
評価:100点